きっかけは京都!
「あーひまひまひまひま〜」
私はコンビニの店番を任されて、
日曜日の朝だというのにずっとレジカウンターに座っていた。
お兄ちゃんが買い物に行っている間代わりを頼まれたんだけど
今はお客があまりはいらない時間帯で、私はすごく暇でたまらないのだ。
「もうお兄ちゃんてば早く帰ってきてよ〜」
ぶつくさと言いながらポッキーをかじる。
「京さん、いいんでちゅかお店のお菓子食べちゃって・・・」
「いいのいいの。あ、ポロモンも食べなよ」
「いえ私は・・・」
「食べなさーい!」
私はうりゃ!と無理矢理ポロモンの口にポッキーを押し込んだ。
「うぐっ」
「へへっこれで同類同類!」
「み、京さ〜ん」
ポロモンはあきらめたようにポッキーを食べ始めた。
パートナーなんだからおいしいものは分け合わないとね!
ポリポリとポッキーをちょっとずつかじっていくポロモンの姿が妙に可愛くて、クスッと笑う。
その時、店内に来客を知らせるチャイムが流れ、私はずかさずポロモンを隠した。
「ほら早く隠れて・・・い、いらっしゃいませ〜」
「こんにちは京ちゃん」
え?
ビックリして見ると、そこにはメガネをかけた長身の男の人が立っていた。
「あ!シュウさん!?」
「久しぶりだね」」
なんとそれは京都で出会った城戸丈さんのお兄さんのシュウさんだった。
「うわあ、お久しぶりです〜あっポロモンでてきて大丈夫だよシュウさんだ!」
「え・・・?」
ポロモンがそろそろと姿を現す。
「やあポロモン君。久しぶり、僕のこと覚えているかい?」
にっこりと笑う。
「あ、はい。その節はどうも」
「ははは、こちらこそ。進化のさまを目の当たりにできてとても貴重な体験になったよ。また頼むよ」
「は、はあ・・・」
おかしなことを頼まれてポロモンはあやふやな答えを返す。
私は珍しい人物の登場にまだ呆然としていた。
「シュウさん、うちの店にはよく来るんですか?」
「ん?ああいやいや今日が初めてだよ。あ、コレとコレもらえるかな?」
シュウさんは近くのかごからチューインガムとチョコレートをとって差し出してきた。
「あ、はい。えーと210円になります」
「はい丁度だよ」
ポンと手にお金を渡された。百円玉2つに10円玉一つ。
それに何やらお金以外のものも交じっている。
「?これ、は?」
「チケット」
「え?」
私がビックリして顔を上げるとシュウさんは小さく苦笑した。
「いや実は教授に、あ、京都で僕と一緒にいた竹之内空ちゃんのお父さん、と言ったららわかるかな?その人にあることを頼まれてね」
「あること?」
「ほら僕の弟に丈ってやつがいるじゃないか。
その丈とさ、教授の娘さんの空ちゃんがどうやら両想いらしいんだ」
「ああ知ってます知ってます!気付いてないの本人たちだけみたいですよ〜」
「ふう、そうなんだよね、まったく弱っちゃうよ。そのせいで娘の元気がない!って教授が言い出してさ。僕に二人の仲を進展させる役を押し付けたんだ。
このチケット4枚渡されてね」
そう言われて私は手の中の薄い紙を見る。
そこには、「古い歴史の町京都!来たれ本格派妖怪館!!」と書かれていた。
「京都でオープンした妖怪館っていう所のチケットなんだ。・・・それで、どうかな。君にもつきそって欲しいんだ」
「え!?でもなんで私なんですか?」
「すまない!でも君しか頼める人がいないんだ。僕が君を誘ったとなれば丈も不審がらずに空ちゃんを誘ってくれるだろうし」
頼むよ、と拝まれて私はポロモンと顔を見合わせる。
でもただで遊びに連れて行ってくれるなんてちょっとおいしいかも。
しかも妖怪館なんておもしろそうだし。
なーんて考えて、私はこくりと頷いた。
「わかりました。私もお供します」
それを聞いてシュウさんがぱっと顔を上げる。
「本当かい?ありがとう助かるよ!」
「おいしいもの食べさせてくださいね〜」
私はにんまりと笑って見せた。
「わかったわかった。あ、でもカニとかは勘弁してくれよ?」
「え〜じゃあ甘いものめぐりなんてので手を打ちましょう!」
「ははは了解。ちなみに出発は来週の土曜日だよ。夏休みに入ってからすぐだ」
「わ!なんだかわくわくしてきた〜」
「あの・・・み、京さん・・・」
舞い上がってる私に、ぼそっとポロモンが呟いた。
「私は・・・留守番でちゅか?」
寂しそうに尋ねる。
そういえば前にもこんなことがあったっけ。
さすがに修学旅行には連れて行けなかったんだよね。
私は、もうポロモンを置いてきぼりにしたくないな、と思いながらシュウさんの方を見た。
「えーと、シュウさんポロモンは・・・」
「もちろんいいよ」
にっこりと笑って頷く。
私たちはほっとして笑い合った。
「あ、そうそう言い忘れてたけど、京都に一泊することになるんだ。大丈夫かい?」
「はい、たぶん大丈夫です。なんたって引率者がいるんですから!」
「あはは、じゃあ来週迎えにくるから準備を頼んだよ」
「はーい」
私とポロモンは一緒に返事をした。
シュウさんは「じゃ」と言って行こうとしたけど、途中で振り返った。
「あ、そうだ。これあげるよ」
「わっ」
ひょいっと何かが投げられて私は慌ててキャッチした。
なんだかふわっとした感触。
「旅先で見つけてね。ちょっと面白かったから君に買ってきたんだ」
手を開いてみると淡いピンク色の丸い人形がでてきた。
キーホルダーになっているらしい。
ちゃんと目もあって小さな羽もついている。
どことなくポロモンに似ているような気がした。
「これって・・・」
「なんだかポロモン君に似てるだろう?」
「わ、私でしゅか??」
ポロモンは自分の名前が出されて驚いたように人形を見る。
「うん。ポロモンっぽいよね」
「私にはくちばしがありまちゅよ・・・」
ポロモンは細かいことにこだわる。
「うん、残念ながら口がないんだよねその人形。でも憎めない顔してるのが気に入ってね」
顔か体かわからない胴体の半分はある大きな目が、すごく可愛かった。
確かに憎めない顔してるよ。
私はプッと吹き出した。
「ありがとうございます。さっそく鞄につけますね」
「そうか。いらないとか言われたらどうしようかと思ったよ」
「そんなこと言いませんよ〜こんなに可愛いのに」
「気に入ってもらえて嬉しいよ」
シュウさんは照れたように笑う。
その笑顔をちょっと可愛い、とか思っちゃったり・・・
「じゃあまたね、京ちゃん」
「は、はい、シュウさんっ」
ちょっとドキッとして答える。
シュウさんは軽く手をあげると店から出ていった。
・・・・うーん?
「ねえ・・・なんか今私、ヘンじゃなかった?」
なんとなくポロモンに尋ねてみる。
「え?何がでちゅか?」
「・・・やっぱ、何でもない」
首をかしげているポロモンに私は一つ溜め息をついて、
今しがたもらったポロモン人形を見た。
なんだかわかんないけど
肌身離さず身に付けていたい気分になった。
それはこの人形が可愛いから、
だよね?
END
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あとがき
・・・え?かはっ!書き終わってみたらラブものではないですねコレ!
というかシュウさん、もし京に手を出したら完全にロリコンですよロリコン。
大学生と小学生。でもだから萌えたりして(殴)
城戸兄弟の中で京と1番関係が深いのがシュウ兄さんなんですよね。
でも京ちゃんだと本当何書いても楽しいです。
ちなみにコレこんな中途半端で終わらないかもしれません(汗)
つ、続くのかコレ・・・・?
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