猫の気持ち
秋休みになりは大木雅之助の家に向かっていた。
この前、夏休みに帰宅した時とは少し違う。
迷い猫でまだまだ幼い”ウサギ”を連れているからだ。
「大丈夫よウサギー。雅之助は案外動物好きだし捨てろとかそんな薄情な事言う人間じゃないから」
てゆーか捨てさせないし。
肩でマフラー代わりをしている子猫に話しかける。
はかなりごく普通の村娘になりきっていて道行く人々は彼女が蹴りが凄まじい忍者とは思わない。
「土井先生は預かってくれるって言ってたけどウサギは私と離れたくないものね」
「にゃーん?」
すりよってくる猫はたまらなく可愛い。
離れたくないのはお前だろうというツッコミは無しで。
機嫌良く歩いていると竹薮から何かが飛んできた。
瞬時によけ、目をやるとそれはただの紙切れだった。
それには”おかえり”とだけ書かれていた。
こんなくだらないことをするのは一人しかいない。
「雅之助、いるんでしょ」
ひょこっと顔を出す男。
「そろそろ着く頃だと思ってここで待ち伏せておったのじゃ」
「・・・普通に待ってればいいのに」
「わっはっはっは!わしを待たせるとはいい度胸じゃ!」
「勝手に待ってたくせに」
はあとため息をついたところで抱きしめられる。
「よく帰ったな」
「うん・・・・・・雅之助、潰してる」
首元にいたウサギはばっちり挟み込まれていた。
「お、すまんすまん猫っぽいマフラーかと」
「猫だし」
「で、なんだコイツは」
「忍術学園に迷ってきたのを私が引き取ったの」
「飼うのか。ふーむ、名は?」
「全体的に白いのに耳だけ黒いからウサギよ」
「・・・おまえらしいネーミングセンスじゃな」
馬鹿にされたような気がしてムッとする。
「まあまあそんな顔するな。あそこの露店で団子でも買ってやるから」
再び抱きしめられ優しい声で囁かれたら許さざるを得ない。
「なんか丸め込まれてるような気がするんですけど・・・」
「わっはっはっは!」
鉢巻男は豪快に笑う。
ウサギは首の後ろ側に非難して挟み込まれることはなかったが、
これから秋休みな二週間、こんなことが続くのかと思うと子猫ながらに物思いにふけるのだった。
あとがき
両思い設定で、もはやラブラブな二人です。
猫は飼わせたいなと(何)
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