日常
今日もジン太は元気だった。
ウルルの静止も聞かずホウキで野球の真似事をしている。
「ちゃんとしないと喜助が帰ってくるよー」
がため息混じりに言ってもおとなしくはならない。
「てめー店長の味方かよ!」
「ジン太くん・・・さんの言うとおりちゃんとお掃除しようよ・・・」
「うっせーウルル!一人いい子ぶってんじゃねえ!」
ぐりぐり攻撃が始まる。
「いたたたた・・・痛いよぉジン太くん」
相変わらずウルルには実力行使だ。
はもはや注意する気力は失せていた。
無視を決め込み掃除を再開しようとすると玄関の扉が勢い良く開いた。
「ただいま〜帰ったよーん♪」
このアホくさい声は店長である浦原喜助に間違いない。
「ほら帰ってきたわよ」
ふと見るとせっせとホウキを動かすジン太。
・・・悪知恵だけはよく働くようだ。
まあいっか、と思いこちらもホウキを動かそうとするとぱしっと手をつかまれた。
「あなたまで掃除をしろと言った覚えは無いんスが」
「・・・でも何もしないわけには」
つかまれていた手を両手で握られる。
「いいんですよ何もしなくて。料理だけで大助かりっスから」
「手を握る必要は無いと思うんだけど」
睨み上げるが喜助には全く効いていない。
「こんな人目のあるところでハグしていいと?いやアタシはいっこうにかまわないんスけどねv」
違うからってか聞け。
「ウルルあれでけっこう鋭いんだから誤解を招くようなことはつつしんでよ」
怒ったように言うと喜助は意外そうに手を離す。
「誤解?」
「そ。あらぬ誤解!」
軽くすり抜けようとすると腕で制された。
「じゃあ真実にしましょ♪」
そのままぎゅっと抱きしめられた。
「き、喜助!?」
「んーもう逃げられないっスよー」
「に、逃げない逃げない!」
だから早く離して!という前に抱きしめる腕にますます力が入っていく。
「このまま部屋に行きましょうかー」
「あはははは、行くわけないでしょエロ商人!」
笑いつつ顎に頭突きをお見舞いする。
「あいた〜きついっスよサン・・・」
「頭冷やしなさい!」
「顎が燃えてます・・・」
さすりつつ見つめてくる。
「な、何よ」
「痛いっス」
「ツバつけときゃ治るわよ」
「サン〜」
立ち去ろうとすると甘えたように背後から抱きしめられる。
ぱくっと耳を甘噛みされて真っ赤になってしまった。
「な、なにす・・・」
「愛してます」
真面目な声で言われて心拍数が跳ね上がる。
「もう・・・」
この心臓の音に、赤い顔に、彼が気付きませんように。
あとがき
・・・なんか怪しくなれませんでした。
頭突きしている時点でエロは無理ですいくら喜助さんがエロ商人でも(苦)