雨のち豪雨―7000hit御礼
ザーザー
雨が激しく窓を打ち付けるが、銀時はパンをくわえたままテレビにかじりついていた。
久々に月詠が来ているというのに結野アナのお天気予報が始まったとたん画面に釘付けになり、
死んだ魚のような目がらんらんと輝きだした。
結野アナの天気予報は良く当たる。
でもその笑顔に癒されている男はおそらく銀時だけではないだろう。
その証拠がはんぱない視聴率にあった。
だからして銀時の女神であり、人並みに早起きできる理由でもある。
「何も月詠さんが来てる時にまでテレビ野郎に成り下がらなくとも」
ふぅ、と新八はため息をついた。
神楽は、お湯を注ぐだけ♪なインスタント・ミロを人数分用意する。
なかなか来客時の対応にも慣れてきたようだ。
まあパンを焼いたのは新八だが。
月詠が来たときはまだ晴れていたが、ぽつぽつと始まりあっという間に土砂降りになった。
用事を済ませたらすぐ帰るつもりだった月詠も足止めをくらっていたのだ。
「傘を貸してもらえれば一人で帰れるんじゃが・・・」
困り顔の月詠に銀時がやる気なさげな目を向ける。
「だめだだめだ横風もあるんだぜ、間違いなく濡れ鼠になるぞおまえ」
「別にかまわん」
「年頃の女の子が何言ってるアルか!
遠慮はいらないネ、ツッキーにはまだいてもらわないとそこのテンパが泣くアル」
「う、うるせー誰が泣くか!」
慌てて否定する銀時に、神楽がふふんと勝ち誇ったように笑うとミロを飲みなおす。
「私と新八はこれから”中学生以下ケーキ食べ放題”な●ジヤにい行くと言う使命があるネ!」
「あきらめろーこの雨じゃ行けねえよ」
「わかってないアルな銀ちゃん、この雨だからこそラッキーアル、行列回避ネ!!」
がしっと新八の手をつかむ。
「わ!僕は別に・・・ぐほぉ」
反論しかけた新八の腹に拳が決まる。
「てめー空気よめやダメガネ・・・私と行くネ」
ずるずると引っ張られていく新八。
笑顔な神楽はそのまま出て行った。(新八は気絶中)
月詠はあっけにとられていたが銀時はテレビに集中したままだ。
部屋には雨音と結野アナの声だけが響く。
置かれたミロから立ち上る湯気が弱々しくなってきた、さすがに冷えてきたのだろう。
「おい銀時、いい加減にしなんし。ぬしが早く飲まんから冷めてしまうではないか」
ちょっと怒ったように言うと銀時が面倒そうに振り向く。
「あ?いいんだよ俺と女神の貴重な時間を邪魔すんなよー」
なんとなくムッとする月詠。
「神楽がせっかく熱々を煎れてくれたというに」
「いいんだよ何者も俺と結野アナの邪魔はさせねえ」
「・・・そうか、ではわっちも邪魔か」
怒れる自分を押さえ込み、立ち上がる。
その瞬間、銀時の肩がぴくっと反応した。
立ち去ろうとする月詠の手を目を向けないままつかむ。
「・・・・・くくっ」
「・・・何がおかしい?」
彼は手をつかんだままゆっくりと振り向いた。
「もしかして、ヤキモチとか焼いちゃってます?」
不意にこちらを向く。
視線が合わさり月詠は慌てて目を反らした。
「バ、バカなことをぬかすでないっ」
座っていた銀時がむくりと起き上がり伸びをする。
「あーやっぱ朝は結野アナの綺麗な声に限るなあ」
やはり、なんだかムッとする月詠。
「悪かったな朝からぬしの前に現れたのがわっちで」
やけくそ気味に残りのミロをくいっと飲み干した。
それを見て銀時がふっと笑う。
「何すねてんの?」
「ドアホ。すねておらん」
するといきなりつかんでいた手を引っ張られた。
「わっ」
気付いたらしっかりと腕で抱きしめられていた。
「俺には崇拝すべく女神がいるが、守るべき月は腕ん中にある。
それは女神とは比べ物にならねえくらい大事なもんだ」
「・・・・・」
「・・・あー恥ずかしい、でも本音だからな」
顎を押し上げられて目が合わさった。
流れるようにキスが落とされる。
月詠も見開いていた目を閉じ、そのキスを受け入れた。
雨はまだ降り続いていたが、天気予報によればもうすぐ止むらしい。
だから、もう少しだけ月を独り占めできる。
たまにはこんな天気も悪くない。
終
あとがき
7000HITリクは「結野アナにデレデレな銀さんにちょっと嫉妬しちゃう月詠v」なはずなのに嫉妬しきれてない感が・・・。
なにはともあれリクありがとうございましたv
ジャンプネタバレ→「結野アナの夜の顔は陰陽師かよ!かっこいいんですけど!?てか第2のお妙さんな感じが拭えない」(反転)
スンマセンまだ誰もその事実を知らない設定にしてください。
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