初雪








ちらほらと白い物が舞い散る。
まだ11月だがこれは初雪というやつか。


「・・・一応ついて来んのんな」


外見はリンだが今は完全にグリードな男が立ち止まり、白い息を吐く。


「中身は違えど若の身を守るのが私の使命だからな」


建物の陰から見下ろしながらランファンも止まる。


「お−おー偉いもんだねぇだが俺は硬化できるから護衛はいらねえぜ、その趣味の悪ぃ仮面とって下りてこいよ」

「得意気に言うな、若に体を返せ」


すたっとグリードの背後に着地し、仮面を取る。


「ふっ、仕事熱心だな。悪ぃがそりゃできねえ相談だ」

「何?」

「せっかく手に入れたもんには一国の皇帝の座に加えおまえがもれなく付いてくる」


にやりとグリードは口の端を上げる。


「手放せるわけがねえ」


目にはどこか真剣な色が宿り、ランファンを焦らせた。


「そ、そんな目で見ても私は騙されんぞ、貴様が若に体を返せば私に付きまとわれる事も無くなる」


視線に耐え切れず顔を反らした。


「だーから手放さねえーっつってんじゃん。好きな女に付きまとわれるのは男冥利に尽きるぜ」

「・・・・・」


ランファンは押し黙った。
リンが何よりも大切でそれが主従関係以上のものだともう気付いている。
世間がどう反論しようとも自分に嘘はつけない。

目の前には確かにその大切なリンがいるが、今は完全にグリードで彼は私を好きだと言う。
信じたわけではない、心が揺れたわけでもない。
でもなぜか心の底から憎むことができない、何故だ。
若が戻ればそれでいいじゃないか、それでグリードが消えようといいじゃないか。
元の鞘に収まることを気に病む必要はないだろう。


「おい、何黙ってんだ?」

「べ、別に・・・」


突然、グリードに腕をつかまれた。


「へえ逃げないんだな」

「・・・貴様が若と共にある限り私は逃げることはしない」

「実に便利な体だ」

「黙れ」


彼は無言で歩き出す。
腕をつかまれていたため、ランファンまで強引に引っ張られる。
そして自然な流れで腕を捕らえていた手がランファンの手を握ってきた。


「!」

「デートみてーだろ、こそこそ付いてくる必要はねえよ」

「・・・」

「どうやらこの体ならおまえを手に入れやすいらしい。この俺がおまえを本気で手に入れたいと思ってる」

「無駄なことだ・・・私は若の物だ。間違っても貴様に傾くことは無い」



「どうかな?」










あとがき

リンラン前提ですがグリランも好きだったり。
スンマセンほんの出来心ですでもやっぱりグリランも好きです(マイナー)