買出しにつき
ランファンは食料調達にととある店に来ていた。
フーから頼まれている物はジャガイモ、ニンジン、タマネギそれと鶏肉とシチュールーだ。
間違いなく今夜はシチューだろう。
爺様を遣い走りにはできないので自分が名乗りを上げた。
わしも一緒に・・・と過保護なフーの提案はランファンの頑なな拒否により単独行動となった。
だから今、持たされた地図を頼りに店に辿り着き買い物を済ませたところだ。
おいしそうな野菜を買い足していたら袋がズッシリと重くなってしまった。
まあ急いでいるわけじゃない。
休憩しながら帰宅すれば問題はない、とただただゆっくりと帰路についていた。
見上げた空が茜色に染まりつつある。
夕暮れ時か、少しは急がねば夜になってしまうな、と考えていると聞き覚えのある声が降ってきた。
「重そうだなぁねーちゃん」
声のするほうを向くとリン姿でニヒルな笑みを浮かべたグリードが見下ろしていた。
「なんだ貴様か」
「残念だったな王子様じゃなくてよ」
にんまりと笑いながらランファンの前に降り立つ。
「何用だ」
「んーべっつにぃ?それ、重そうだな」
抱えてる荷物を指差す。
「軽くはないが、貴様には関係のないことだ」
「そ?」
無視して歩き始めると一定の距離を保って背後を着いて来る。
「・・・だから、何用だ」
ため息混じりに振り向くとグリードがにやりと笑う。
「今夜はシチューかい?」
抱えた袋からルーがのぞく。
「俺はビーフシチューのが好きだがな」
「知るか」
「冷てぇなー。貸せ、持ってやる」
「は?」
結構だ、と突っぱねようとする前に袋を奪い取られた。
「何の真似だ」
「うるせー俺が運んでやるって言ってんだありがたく思いやがれ、代わりにビーフシチューに献立変更だ」
「頼んでない返せ、さりげなく催促するんじゃない。そもそも貴様に食わせる気はない」
ひょいと頭上に袋を上げるグリード。
「一応リンって奴も俺ん中にいるんだぜ」
ぴくっとなるランファン。
「・・・ちょっと待ってろ、牛肉を買ってくる」
後方に走り出す。
さすがというか、あっという間に姿を消す。
「ふ、いい女だな」
消え去った場を見つめつつ呟くと中のリンが眉根を上げる。
「当たり前だ、でもお前には絶対渡さんぞ」
「へっ」
誰にも渡す気なんかねえくせに。
まあ俺もだが。
グリードはほくそ笑んだ。
あとがき
糖度低めだけど愛を感じてください。
これはグリランですがグリード→ランファン←リンですな。
てゆーかグリード=リンですから二人っきりって無理なような。
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