私の忍者
島原で芸者姿の私を救うためとっさにとはいえ考え出された嘘、
それでも山崎さんの口から「お嬢様」なんて言われるなんて、ちょっと照れる。
いつものように炊事場に向かう廊下を歩いていると、ばったり山崎さんに出くわした。
昨日の今日で胸がドクンと鳴った。
だが彼はいつもと変わらぬ涼しい表情で私を見やる。
「雪村くんじゃないか、昨日は大変だったな」
微笑む彼。
今まであまり接点もなく共に暮らしていたが昨日の一件で少しは打ち解けたらしい。
彼は柔らかい表情をするようになっていた。
「いえ、山崎さんがいてくださって良かったですありがとうございました」
ぺこりとお辞儀をする。
やはり彼は微笑んでいた。
「君の事を思い知った気がしたよ」
「え?」
「あ、いや、その・・・よく、似合っていた・・・」
そっぽを向くが頬が赤かった。
「ま、また着てくれないか?」
「はい、機会があれば」
にっこりと返す。
「あーだめだ、やっぱりだめだ着ないでくれ!」
「え、ええ!?」
彼は慌ててこちらを見、肩をつかんだ。
「いやその、他の奴に見せたくない・・・」
もごもごと言う彼の目は泳いでいる、肩をつかんでいる力は弱まらなかったが。
「俺の前だけで・・・とは言える立場じゃないが、君はあまりに綺麗だったから、またあのような騒動になりかねん」
「いえ・・・」
つかまれている肩の手を握り返した。
彼は驚いているようだった。
「あなたは私の忍者なのでしょう?」
「あ、あれはそのーあながち間違いではない・・・俺は君を影から守るのも使命だからな」
千鶴はふふ、と笑う。
「私は戦闘能力には欠けます。でも何かしら新撰組の、いえ山崎さんの役に立ちたいんです。
・・・あなたの支えになれたらと思います」
「雪村くん・・・」
彼は目を見開いたが、すぐに落ち着き苦笑をもらした。
そしてさらに強く手を重ねる。
「君は俺が守る、使命を終えても守り抜く」
「・・・ずっと、傍にいてくださいね」
あたかも将来を誓い合うように2人は頷き合い、笑い合うのだった。
あとがき
キタ純情男!!
山崎さんは生真面目につき純情に違いありません。
確か斉藤さんの身長が168cm。山崎さんも同じ位では?
たとえそうだとしても山崎さん好きですv
随想録で個別イベントあっておいしいですがやはり落としたかったなー(無念)
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