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連れて来られたのは人けのない岩浜だった。
「浅瀬じゃないような…」
「あまり浅瀬だと泳げないでしょ。大丈夫アタシがいますから」
ね♪とやけにご機嫌な喜助。
恐る恐る足先を水につけてみる。
「うわ冷たい!」
「でしょうね、岩場はあまり日光があたりませんから」
「夏なのに…」
なんとなく盛り下がっていたら
ばしゃーんと景気のいい水音がしたかと思うと喜助がすでに飛び込んでいた。
「ほら、怖くないっスよー」
泳いでいるのか足がついているのか、海中でとどまっている。
もいつまでも陸地に止まっているわけにはいかない。
腹を決めて×勇気を振り絞って足を入れた。
ここで見事に滑る。
「きゃ!」
「おっと」
受け止める喜助。
「危ないっスからしっかりアタシに掴まっていてくださいね」
余裕な男。
絶対ここで私が滑ると踏んでいたに違いない。
じとっと睨んでみるが彼には一向に効いていない様子。
浅瀬だと思っていたら結構深いし…
だから喜助にしっかり捕まる、
それが嬉しいようで彼はにこにこだ。
「あの―」
「はい?」
にっこりと首をもたげる。
「何でここに連れてきたの?」
睨み上げるもここはすでに海の中。
主導権は喜助にあるのだ。
「なんで…そうっスね、あそこの岩陰を見てください」
喜助の肩越しに見ると綺麗な貝がたくさん貼り付いていた。
「あ、すごい!」
「サンならそう言うと思っていましたよ」
「これを見せるために?」
「んーそれもありますがここは穴場っスからね、二人きりになれる思いましてv」
そういうことかい!とツッコム前に両手で顔を包まれる。
「あれ、足ついてるの?」
「いえ足で泳いでるんス。だからこうやってキスもできるんですよ」
そのままチュッと軽く唇を重ねられた。
抵抗できないためそれをおとなしく受け入れるしかないわけで。
「ひ、卑怯者!」
「まあまあーこれあげるっスから」
何かを髪につけられた。
見えないっつーの!
仏頂面でそれに触れてみる。小さくて硬い…
「さっきの貝殻です」
「いつの間に…」
なんだかこそばゆいし、嬉しかった。
「あ、ありがと…」
「いえ、やっぱり似合いますね」
「喜助もこういうことするんだ」
「意外っスか?」
「ちょっと」
喜助は意味深に微笑む。
「帰ったらもっと意外なことしましょうねv」
「な…」
耳元で囁かれてゾクッとする。
対する喜助は満面の笑みだ。
「えろ商人…」
は赤くなりつつ呟いた。
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逃げ書き
ちっとも意外じゃないことをこやつはするつもりです。
18禁は難しいんで気が向かない限りそれは書かないかと(死)
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