花火





夏は暑い。

当たり前だが、ここ万事屋にはクーラーというものが無いためマジで暑い。

唯一の扇風機は神楽に占領されているため銀時と新八はうちわでしのいでいた。


「ったくよー涼んでたらパチンコ店員に追い出されるは下のばばあには足蹴にされるは、まじで暑いんですけどぉ」


銀時は横たわりうちわを仰ぎまくる。


「文句言ったって涼しくはなりませんよ」


腕まくりをし、気だるげに言い返す新八。


「だらしないアルなーごたごたぬかす暇があったらクーラーつけるネ」

「だまれクソガキ。扇風機占領してるやつが偉そうな口叩くな。そりゃ金があったらつけてますーんな余裕ねーんだよ」

「そういえば銀さん、今日花火大会ですよ」


突発的に新八が呟く。


「そーだな、花火大会ってより夜店パーチーだな」

「・・・月詠さん誘いません?」


そのいきなりすぎる提案に銀時は眉をひそめる。


「なんであんな無表情女を誘わにゃならんの」

「いいんですか、こういう口実がないと会いづらいでしょう」


睨む新八から目をそらす。


「ごほん・・・し、仕方ねえな、どうせ働きづめだろうからたまには誘ってやるか」


銀時は髪をぐしゃっとかいた。


「素直じゃないアルな」


神楽の呆れたような呟きは扇風機の風でブレまくりだった。




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