夏はやっぱり魂試し
肝試し。
それは怖いと思いつつ夜道を進むというつまらないにも程がある行事である、と少なくとも銀時はそう思っていた。
神楽がめちゃくちゃ●屋敷に行きたがり、とある遊園地に行くことになった。
なぜか月詠も行くことになったがそれは作者日輪の策略でもあり、人数あわせ(2−2)のためでもあった。
神楽がツッキーしかいないネ!という一言で強引に決定したり。
入り口にたたずむ4つの影。
窓口のオヤジがタバコをぷかぷかとふかしながら怪訝な顔をしている。
「お、お化け屋敷・・・僕、か、かなり苦手なんだけど・・・」
「情けないアルな、何がそんなに怖いネ」
顔色が明らかに青い新八を神楽がどつく。
「あーー・・・お前は大丈夫そうだなアバズレ」
銀時がやる気なさげに月詠の方を見やる。
「何だここは。何か襲ってくるのか?」
くないを取り出す。
「おいおいおいおい、武器系持込禁止だぜアトラクションは」
「む・・・丸腰とは心もとないな」
窓口のオヤジに睨まれたのでしぶしぶクナイを預ける。
銀時の腰にはいつもの木刀が刺さっていたがオヤジが何も言わないのを見ると木刀はいいらしい。
「おら行くぞ。何があっても俺がいるんだし」
「丸腰は不安じゃ・・・ぬしに迷惑をかけるやもしれん」
「たまには人を頼りやがれ。少なくとも俺はお前一人くらい軽く守り通す自信はあるぜ」
「あ、ああ・・・そうじゃな」
なんとなく赤くなる二人。
窓口のオヤジがそれを見て深いため息をつく。
「あんたら・・・いちゃつくのはいいが早く入ってくれんかね」
ぷは―っと煙をはく。
「いちゃつ・・・」
反論しようとした月詠の手を銀時がひっぱった。
「んじゃ俺ら行きますわー」
「あ、こら銀時!?」
闇に消える二人を見送って次の入場時間を掲げ、オヤジはおやつタイムに入った。
ポリポリとセンベイを食べながら先に入ったチャイナ娘とメガネ男のことを思い出す。
特にあのメガネ男はめっちゃ怯えていた。
オヤジは楽しげに口の端をあげるのだった。
人を怖がらせるのがお化け屋敷の醍醐味、そしてオヤジの生きがい(趣味)でもあった。