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「あー食った食ったニンジンしか記憶にないけどうまかったぜ」
満足気にソファーにもたれかかる銀時。
新八は後片付けくらいやらせてください!と有無を言わせず洗い場に行き、神楽は定春の散歩に出かけていった。
つまり居間に二人きりな銀時と月詠。
「食後にはやっぱりデザートだよな」
「ひかえろ糖尿男」
「え、何、ないの!?」
慌てて体を起こす。
月詠はぎろりと隣の男を睨んだ。
「神楽が帰ってきたら苺シャーベットを出す予定だがぬしのは無い」
「な!?・・・俺のこと嫌いなの?」
「別にそーゆー意味では・・・わっちはぬしの体のことを心配して判断したのじゃ」
ふーん、と銀時がうなる。
「心配、か。少なくとも嫌われてるわけではなさそうだな、むしろ愛・・・」
「うぬぼれるな」
言い終える前に一喝された。
「そんなわけあるか」
「・・・赤い顔で反論されもな・・・そういう意味でとっちゃうよ?」
「・・・・・・」
「無言なところを見ると、脈あり?」
「ば、ばかもの・・・デザートを取って来る!」
立ち上がろうとすると銀時に腕をつかまれた。
「俺の分はねーんだろ、食わせるかよ」
「子供みたいな事を言うな!」
振り払おうとするとさらに強い力で引っ張られ銀時の上に倒れこんだ。
目の前に銀時の顔のドアップがありその表情がどこか真剣みを帯びていたので固まる。
「さて、どうしようかな。俺のデザートはお前だーとか言ってみたかったんだよね」
反論する間もなく口付けをされた。
ますます固まる月詠。
「俺のお前への多大なる愛情に気付いていないのはきっとお前だけだぜ」
「・・・そう、なのか?」
あまりも鈍感な月詠に苦笑する。
「お前にはストーカー並の積極性がいるな」
「ほざけ・・・ストーカーは犯罪じゃ」
言い終わると同時にまたキスをされた。
「っ!」
「大人なキッスはまた今度な、きっと今はカレーの味しかしないぜ」
指で月詠の唇をなぞり、へらっと笑う。
「・・・この変態が・・・・・・」
「そうきたか!いや俺マジで変態・・・かもしれないけど違うから!」
慌てる姿がなんだかおかしくて笑ってしまった。
「くくくっ」
「え・・・あの、月詠ちゃーん?」
「くくっ、いや、すまん。でもわっちの気持ちなどおかまいなしか?」
すると銀時は無言のまま月詠を抱き起こして隣に座らせる。
「お前の中に俺がいればこんな嬉しいことはないが、世の中そんなに甘くないだろ」
ふいと目をそらす。
散々大胆なことをやっておきながら今さら照れるとは。
「・・・心配するな。ちゃんといる、わっちの中にぬしはいる。世の中捨てたもんじゃないぞ」
「・・・・・・まじか?」
驚いたように振り向く。
月詠はにこりと笑顔を返す。
「まじ、じゃ」
新八は台所から出られなくなっていた。
ここで出て行くほどお邪魔虫根性丸出し男ではない。
が、
「早く帰ってきて・・・神楽ちゃん・・・」
こんなことなら定春の散歩について行けばよかった。
定春にがっぽり噛み付かれるほうがマシである。
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あとがき
らぶらぶ・・・になってたらいいなあ(遠い目)