仮装ハロウィン
ドラキュラ伯爵な銀時はけっこうノリノリでトマトジュースを片手に椅子にふんぞり返っている。
牙は自前の安物だがまあ良くできている。
新八は姉のところに帰っていて不在なので神楽が月詠を呼び出すことになった。
パーティーは人数が多い方が楽しい物だとお登勢の提案であらゆるつてに電話をかけまくった結果、
真撰組から沖田と山崎が来ることになった。
さすがに局長と副局長は仕事柄無理らしい。
お登勢自身やたま、そしてキャサリンもハロウィンの夜はもっとも繁盛する時間帯のため不参加だ。
だが差し入れだけはしてくれると言う。
つまりは5人と1匹なこじんまりとしたパーティーになりそうだがそれもまた一興。
ミイラ男に決まった山崎は狼男の着ぐるみをかぶった沖田に包帯を巻かれまくっていた。
神楽は比較的普通な魔女っ子、月詠は顔の傷を生かして女海賊だ。
「おいクソ女、てめえは普通じゃねえかい。魔女なら魔女らしく顔を青白く塗りやがれい」
狼男の着ぐるみを着こなした沖田が神楽につっかかる。
「はん、私は美しい魔女ネ、そっちこそ着ぐるみ着てるだけじゃねーか芸がないアル芸が」
「何が美しいだ鏡見てこいやクソガキ。月詠さんを見習え、顔に傷まで描いて本格的じゃねえかい」
「これは元からじゃ」
月詠が静かに言い正す。
確かに顔の傷が海賊な身なりに合っていたが、それが山崎の視線を釘ずけにしていた。
「素敵です女海賊・・・」
もはやガン見だ。
うっとりと見つめていると銀時の回し蹴りが飛んできた。
哀れなミイラ男は見事に床にダイブして鮮やかに気絶した。
足もとに倒れている山崎を冷たく見下ろす銀時。
「人の女をじろじろ見てんじゃねーよ」
「わーお、いきなりですねい旦那」
涼しく呟く沖田。
「つい、な」
「旦那の愛は重いですねい」
どこまでも涼しく言い放ち、両手に神楽と山崎をつかんだ。
「な、何するネ!?」
「るせー、てめえは黙ってついてきやがれ。どうやら俺らはとんだデバガメのようだぜい」
「今さら何言ってるアルか、何のためにツッキー呼び出した思ってるネ」
「てめえの策略かよ!?・・・まあいい、バカ丸出しのザキを屯所に捨て置くか」
そそくさと外に行く3人と1匹(1人は意識不明)。
残された銀時と月詠は目を見合わせた。
たった2人で騒いでも楽しくないし、それはもはやパーティーではない。
銀時はおもむろに座り、お登勢からの差し入れであるシャンパンを開けた。
月詠の異常なまでの酒の弱さを伝えていたためジュースなシャンパンでアルコールは少しも入っていない。
勺ぐらいしてやると月詠がビンを手にした。
「女海賊さんには酒瓶が似合うなあ」
「吸血鬼にはトマトジュースが似合うがあいにくそれは無いようだ」
「トマトジュースは好きじゃねえ」
「黙れ蚊が」
「せめてコウモリに例えろ!確かに蚊も血を吸いますがね?」
「神楽に言われたんじゃ吸血鬼は蚊の仲間だと」
「・・・あんな叩き潰される運命にある連中と吸血鬼を一緒にすんな。吸血鬼様はなあ美女の首筋一筋のエロ紳士だぞ」
「そうなのかエロなのか、はまり役じゃな紳士ではないが」
涼しい顔でシャンパンをあおる月詠。
銀時は何かを諦めたように頭をがしがしと掻く。
「まあ否定はしませんがね?俺は美女全部が許容範囲ってわけじゃないから。おまえ一筋だし」
「またそんな気恥ずかしいことを」
「だってさ、本当だし」
そう言うや否や、月詠の手を捕らえる。
「なっ危ないじゃないか!シャンパンがこぼれるところじゃ!」
「そんな酔えねー飲み物でこの神聖な夜を終える気かよ?」
「・・・ぬし、何を考えておる?」
「吸血鬼はエロだよ夜が活動期だ」
「・・・」
「俺が、違うことに酔わせてやるよ」
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この状況は・・・きっと次は18禁ですがそれは削除。