ハロウィンパーティー
今日はハロウィンだということで何やら街全体が浮き足立っていた。
多くの店がカボチャの飾り付けを施し、遅くまで営業している。
そんな行事を知らないリンは、アルといつも以上に底上げ靴をはいたエドと共に並んだ食事をあさり、
ランファンはお姫様なドレスに身を包んだウィンリィとタイトなドレスで決めているリザに連行されて部屋にこもった。
酒を飲んでいるのはタキシードなロイとハボックで、ハロウィンというよりただのパーティーとも言えるような面白味のない格好だった。
ここはリザ宅なためそんなに広くないし、なにより禁煙だ。
ヘビースモーカーなハボックにとってこれは痛い。
が、喫煙すればブラックハヤテ号が瞬時にかぶりつくことになっている。
危ない橋を渡る勇気がハボックには無かった。
「死にそうな顔をしているな、大丈夫かハボック」
心配げに、だが特に気にしていない様子でロイが呟く。
「大丈夫っす、中尉のタイトドレス姿が見れましたから」
「おまえの女好きはタバコ以上ってわけか。だがまあ中尉には手を出すなよー部下には優しくありたいもんだ」
にっこり笑うロイ。
ハボックもつられて笑ったがその静かなる圧力に引きつり笑顔になるのだった。
部屋から現れたランファンは魔女の格好をさせられていたが髪が黒いので良く似合う。
ミニスカで網タイツというのがハボックにとって嬉しい格好であった。
エドが比較的カッコイイ吸血鬼に変身したためリンは仕方なく狼男役に落ち着く。
ミミと牙をつけるだけなので簡単と言えば簡単だ。
魔女っ子ランファンと対峙した時の衝撃は計り知れない。
いつも忍び服ばかり着ているから新鮮だった、たまにはこういう機会もあっていいと思う。
「あ、若?可愛いですねその付けミミ」
声をかけられてリンはふと頭の付け耳に触る。
「これ?でも話によると俺が扮してる狼男ってのは可愛いもんじゃないらしいよ」
「そうなんですか?」
「ランファンのほうが可愛いよ」
さらりと甘い言葉を恥ずかしげも無く言う。
「え!?」
ドキッとする、でもこれは社交辞令かもと思ってもやはり赤くなる。
「ふふっ本当に可愛いわよランファンちゃん。
じゃあ頃合ね電気を消しましょう」
スタンバっていたのかリザの合図でウィンリィが照明を落とすと、
カボチャのランタンが神秘的に浮かび上がる。
「うわー綺麗だなあー」
アルが感激のため息をこぼす。
ロイだけが冷静?にリザの近くに移動し、さりげなく肩を抱いた。
慣れたその手つきに、ハボックは呆れながらも酒グラスをあおった。
上司の女に手を出せるわけないし、相手は鷹の目と恐れられている銃撃手だ。
はっきり言って恐れ多い。
残すはお子様ばかり・・・ランファンちゃんの格好にはドキッとしたがリンという男が笑いつつ目を光らせている。
ウィンリィちゃんにはエドが付いているしきっとアルも許しはしないだろう。
残るは・・・・・
「ハヤテ号、俺ら仲良くしような」
「わん?」
酒を片手に犬を撫でながらため息をつくのだった。
次(ハボックいるか?)
*指摘されてウィンリィのことをウェンディと打ち間違えていたと知った件→決して愛がないわけでは!(直しました)