布団でのん気に眠り続ける永倉。

千鶴はぬるくなった手ぬぐいを替えようとそっと彼の額に手を伸ばすとガシッとつかまれた。


「きゃ!?」


手をつかんだのは寝ているはずの永倉、彼はゆっくり目を開けるが事態を飲み込めてはいないようだ。
しばらく天井を見つめたまま身動き一つしない。


「・・・千鶴、ちゃん?」

「は、はい、そうですが」

「・・・・・やっぱ可愛いなあ」

「えっ」


突拍子もなく言われて千鶴は赤くなる。
手をつかまれたままゆえ至近距離なのでさらにドキドキする。


「・・・なあ、これから言うことは酔っ払いの戯言だと思って聞き流してくれ」


いきなり起き上がったと思ったら、ぎゅっと両手を握られる。


「え?あ、はい?」


かしこまる永倉にわけもわからず狼狽する。
見上げると彼は気まずそうに目を反らした。


「あ、いや、そのー俺はな、普段の千鶴ちゃんも今の超綺麗な千鶴ちゃんも・・・好きだぜ」

「!」


赤い顔で言い放たれる甘い言葉。
だがこれも酒のなせる業だと思い、千鶴は苦笑を返した。


「例え酒の席の冗談であっても嬉しいです、少なくとも嫌われてはいないみたいですね」


にっこりとする。
この鈍感娘の反応に永倉は驚いて視線を戻す。


「だ、だから好きだって・・・!」

「ふふ、酔ってらっしゃるんですか?大丈夫ですよ私も大好きですから」


突然、がばっと抱きしめられた。


「な、永倉さん!?」


がっしりと腕で包み込まれているため彼の表情を仰ぎ見ることもできない。
ただこの状態が信じられなかった。


「ごめん千鶴ちゃん・・・俺、酔ってねえとは言い切れねえけど、これだけはやっぱ信じてほしい」


あごをとらえられる。
真摯な瞳がまっすぐにこちらを見つめていた。


「俺は君が好きだ」

「!」

「・・・信じて、くれる?」


じっと見つめ手てきたので目をそらすこともできず、
今度は千鶴が真っ赤になる。


「はい・・・私も永倉さんが好きですから」

「え、まじ?そ、そっか・・・」


目を泳がせた後、彼は意を決したように目線を戻した。


「俺も男だ、恥ずかしがってる場合じゃないよな・・・千鶴ちゃん、目を閉じてもらえる?」

「あ・・・」


さすがに鈍い千鶴でもその意図は汲み取れた。
ゆっくりと目を閉じると、彼の吐息を近くに感じた。
重なり合う唇と唇。
かさかさの感触もどこか永倉さんらしく思えた。

それがそっと離されると同時に目を開ける。
苦笑いをする永倉さんの顔がそこにあった。


「ありがとう」


何に対して言ったのか、どういう意味で言ったのかわからなかったが
千鶴は微笑みつつ、うなづいた。










あとがき

10000HIT感謝御礼!!
やっぱ好きです永倉のあんちゃん・・・書いてて改めて気付きましたv
随想録では落とせないけどイベントがあってうれしかったです。

できればおとしたかったけど。
愛の順で行くと、風間→土方→山崎→斉藤→永倉です。