Trobre Maker
私は怒っていた。
「もういいもんっホークモンなんて知らない!」
「京さん・・・」
なんだかすごく腹が立ったの。
だってホークモンってばなんて言ったと思う?
あなたは一人だと何もできない(鳥口調)
とか言いやがったのよあの鳥ーーー!!
「どうせ私は役に立たないお荷物人間ですよーだ!」
「そんなこと言っていませんよ」
「いーの、もういいの。私なんていてもいなくても誰も困らないのよね。ホークモンだってそうなんでしょ?
だから私この世界からいなくなってあげる。じゃあね!」
「み、京さ・・・」
バタン!
私はホークモンの言いかけの言葉をかわして外に飛び出した。
走って走って、ただひたすら走って・・・・
気が付いたら、いつものパソコン教室にいた。
今日は日曜日だから誰もいない。
私は息を落ち着けて、いつも使ってる一台のパソコンの前に座った。
「・・・わかってるよ。そんなこと」
パチリとパソコンの電源を入れる。
私はパニック体質で、一人じゃトラブルを巻き起こしてばかり。
ホークモンはいつも、そんな私のフォロー役。
「わかってるの。自分でもわかってるの!!」
一人じゃ、そう何もできない。
でもをれを言葉できっぱり言い切られてしまったら
なんだか無性にくやしさが込み上げてきて止まらなくなって・・・
「ホークモンのばかーーーっ!!」
叫んでみた。
あ、ちょっとスッキリするかも。
そう思ったとき、ピッという音とともに画面が現れた。
「あ、ゲートが・・・」
開いていた。そういえばD−3をポケットに入れたままだったんだ。
私はゆっくりとそれを取り出した。
「・・・一人でも何かできることが、あるかもしれないじゃない」
このときの自分はちょっと、まともな思考ができなくなってたみたい。
無謀な行動を取ったと、
今すごく後悔してる・・・
「なんでこうなるのよ〜」
私は今、デジタルワールドに来ていた。一人きりで。
やばいなー本当にやばい。
今凶悪なデジモンに見つかったら最悪にやばいわー。
私は岩陰に身を隠すように座り込んでいた。
帰ればいいじゃん。って思うわよね?そうなのよ。
私だってここに来て頭冷やしたらすぐ帰るつもりでいたのよ。
結構10分程度で冷えたって言うのに・・・
「誰よーーーーっパソコンの電源切った奴ーーーーっ!!」
・・・今日は叫んでばっかり。
本当に勘弁して欲しい。前に泉先輩に忠告されたことが現実になってしまった。
帰ろうと思ってテレビに近付いたのに何の反応もないの。
揺すったり、斜め45度の角度で水平チョップを食らわせたりしたけどなにも起こってくれなかった。
画面は黒いまま。
これはもうパソコン教室のパソコンの電源を見回りの先生か誰かが
「誰だ〜つけっぱなしにしてー」とか言いながらポチッと消したとしか考えられなかった。
何も私一人きりでほかに誰も、ホークモンももちろんいないこんな最悪な時に、追い討ちをかけることないじゃないの!
心の中で何度叫んでも状況はまったく変わらない。
電源が切られてしまったのは今となってはもうどうしようもないこと。
みんなにメールで助けを呼ぶにも肝心のD−ターミナルは家に置いてきてしまっていた。
「うわー今日、運勢最悪なんだろうなあ・・・」
大きく溜め息をついた。明日はいつも通り学校がある。
私が無断欠席してることがわかればきっとみんな何かあったと思って調べてくれる。
そしてホークモンが事情を説明したりして・・・
あはは・・・ホント、私ってばトラブルメーカー。
みんなに頼ってばっかり。
・・・でも思うの。
こんな風に心から頼れる仲間がいるって、幸せなんじゃないかなーって。
明日。明日まで乗り切ればきっと誰かが助けに来る。
それを心の支えにして私は空を見上げた。
もう何て言うか・・・ムカツクくらい綺麗な空。穏やかに流れていく雲。
だんだん瞼が重くなってきて、私はいつの間にか眠ってしまっていた。
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