「な・・・え、混浴だったの?」


ぽかんとする銀時。


「ぎゃあああああ毛まみれウインナーアル!純真無垢な乙女二人に汚ねーもん見せんじゃねーヨ!」


騒ぐ神楽とは対照的に月詠は黙って白湯につかった。
目線は極力ウインナーから反らし、岩に向かって会釈を続けている新八を見やる。


「え、てっきり湯船も男女別れてると思ってたよ俺は」

「わっちもじゃ。さっさと白湯につからねば神楽に潰されるぞ●●を」


無言でさっそうと湯につかる。
潰されてはたまらない。

月詠は騒ぐ神楽を一括してこちらに呼び戻した。


「ふう、まあにごり湯で良かったの」

「俺としては透明な方が・・・いや嘘嘘!おま、なんでクナイ持ってんの!?」


構える月詠に慌てて弁解する。


「それ以上近寄るなよ」

「あれ、女を捨てるとか言ってたじゃん」

「・・・それとこれとは関係ない!第一皆がいるこのような場で開放的になれるわけなかろう!」


真っ赤になり反論する月詠に、にたりと笑いかける。


「2人っきりなら・・・いいのか?」

「な、何をってか近い!!」


気がつけばすぐ傍にいた。
エロスパワーか、ぜんぜん気配がしなかった。


「何もしねーよ、そう身構えるな。
・・・でもわかんねーよ部屋で何かあるかもよ?」

「子供たちもおるのじゃ、自重しろケダモノめ」


焦るように目をそらし言い放つ。
全くこの男は・・・
いざとなれば強いのに戦場から離れればとたんにヘタレになりおって。
なんだこの死んだ魚のような目は。
月詠は深くため息を吐いてタオルをきつく巻きなおした。


「とにかく、混浴と分かった以上長居はしんせん。神楽ー帰るぞー」

「え、もうアルか?」

「神楽はご不満のようだぜーそんな慌てなくとも野郎は俺と新八しかいねーじゃんよ」


食い下がる銀時は明らかに不満げだ。


「新八はいいが(いざとなったら殺れるし)貴様は腕っぷしもあるしなによりケダモノだからアウトじゃ」


にっこりと微笑む。


「俺って信用無い?」

「毛ほども」

「うそーん、股間に誓って何もしねーよおとなしくしてるって!」

「んなもんに誓うなハゲ」

「ハゲてません〜フサフサです〜」


聞いていないし関係ない!と月詠は睨みつけたが軽くかわされた。



「甘党と虫歯が切っても切れない関係であるようにおっさんとハゲも言わずもがなだ。
帰るぞー神楽」

「あっ待ってツッキー!」


バシャバシャと湯を切ってタオルを巻きなおす神楽。
2人連れ立って湯から上がる。


「着替えたらロビーで待ってろ、なんか飲もうぜ」

「かまわんが、あまり遅れるなよ」

「女心と秋の空ネ」

「へいへい」


銀時はやる気無さげに手を上げた。





月詠がタオルを首に回し顔の汗を拭きながら女湯ののれんをくぐると、すでに男衆はロビーの椅子に座っていた。


「よお、ジュースは俺がおごってやるよ何がいい?ちなみに俺は間違いなくイチゴ牛乳だけど」

「わっちは間違いなくそれ以外が良い。そうじゃな、炭酸系かな・・・神楽は?」

「私は大容量なら何でもいいアル!」

「容量は変わんねーよ自販機のをあさってくんだからよ。新八は茶でいいな」

「ええっ僕にも聞いてくださいよ!」


銀時はだるそうに立ち上がるとおもむろに自販機の方に消えて行った。
新八はまるまる無視だがあの男が何かをおごるなんて珍しいというか初めてでは。
なんとなく文句は言えない。
銀時の姿が見えなくなると新八のメガネがキラリと光った。


「月詠さん、いいんですか僕らと同じ部屋で」

「何か問題があるのか?」


新八は困ったように頭を掻いた。


「私もいるネ、私はいつでもツッキーの味方アル」

「神楽ちゃんと月詠さんは違うんだよ」

「うるせーヨ、ガキはひっこんでろ」


ぎゃあぎゃあと言い争いが勃発する。
それを尻目に月詠は変わらずタオルで汗を拭く。


「ここは暑いな、銀時が戻り次第部屋に行こう」