寝る時間になり神楽が目をしょぼつかせ始めた。


「神楽、眠いのか?」


気付いた月詠が声をかける。


「んーかなり眠いアルー寝床に4組布団準備されてるから私は先に寝るヨ。新八は窓際決定ネ」

「え、なんで!?」


反論しようとするとガッと神楽に胸倉をつかまれた。


「空気読めや。あまのじゃくな銀ちゃんとツッキーを並んで寝かせるには私らが先に寝て布団の選択権を無くす必要があるネ」

「・・・構わないけど、神楽ちゃんは僕の隣でいいの?
てゆーか寝言とかやめてよ僕繊細なんだから」


ごちゃごちゃと不満を述べる新八を無視してガラリとふすまを開けた。
目に飛び込んできたのは見事にくっつけられた4組の布団。


「・・・僕ら完全に家族に見られてるよね」

「見た目的に銀ちゃんとツッキーが夫婦で私が娘ネ。新八は下僕ネ」

「なんで僕だけ家族じゃないの!?」


ギャーギャーと言い争いが勃発したが銀時の「うるせーぞテメェら!」の一言でおさまった。
いつもこんな感じだが。


「ほら怒られたアル新八のせいアル」

「僕!?」

「おまえもう寝るネ」

「・・・ってゆーかマジで眠くなってきたから本当に寝るよ」


そそくさと窓際の布団に潜り込む。
旅行先でまでケンカはよろしくない。


「神楽ちゃんが電気消してよね」

「偉そうに言うな・・・ってもう寝たアルか。バカは寝つきが早いのは本当ネ」


すでに寝息をたて始めている新八を見下ろす。

一方、残された銀時と月詠はちょっと変な空気になっていた。
先程未遂ではあったが襲い(襲われ)かけたのだ。


「あっ!そ、そうじゃ!先程わっちが飲み残したサイダーが冷えておる頃じゃ!」


月詠は立ち上がり台所へと足早に消えていった。
冷蔵庫は使い放題なのだ、冷凍庫は有料だが。
銀時は座椅子をのけ畳に寝転がる。


「なんか気まずいんですけど・・・」


ポツリと呟くとサイダーを持った月詠が戻ってきた。


「なんじゃまた寝おって、せっかく旅行に来てもやってることはいつもと変わらぬではないか」


ぶつぶつ言いながら座椅子に座る。
サイダーを一口飲んで顔をしかめた。


「炭酸が抜けておる、やはり時間が経つと抜けてしまうな」

「・・・・・・おまえさ」


独り言オンパレードな月詠に寝転んだまま銀時がおもむろに口を開く。


「ん?」

「わかってるか?俺はその気になればいつでもおまえを襲えるんだぜ」


目を閉じたまま物騒なことを呟く。


「・・・わっちもその気になればぬしを串刺しにできる」


ぼんやりと目を開ける銀時。


「まあ無理強いはしねえが、そうゆう危険性があることを忘れんな」

「・・・わっちはかまわん。じゃが隣には神楽も新八もいるからな」

「かまわないって、おまえ結構大胆だよな」

「ぬしならかまわんと言う意味じゃ」


むくりと起き上がる男から目をそらす。


「俺が吉原の救世主だからか?」

「そんな昔のことは忘れた」

「俺を好きだと思い上がってもいいのか?」

「・・・」


電気が消された。


「これなら万が一ガキどもが起きて来ようと気がつきゃしねーよ」


言うや否や月詠を畳に押さえ込んだ。