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「ふー食った食ったー」

「あのような形式は初めてですがいっぱい食べられましたね♪」


見た目からは想像できないほど大食いなランファンは満足といった感じだった。
リンも負けじと大食漢なので満足気な笑みを浮かべていた。


「しかし、まいったなー」

「え、何がです?」


デザートのショコラプディングを頬張りながら(まだ食うか)隣の男を見上げる。


「んー支配人は俺たちが駆け落ちしてきたと思い込んでいるみたいだ」


ぶふぉっとプディングを吐き出す。


「な、ええっ駆け落ち!?」

「うん、自分も駆け落ちして今の奥さんともう長いこと連れ添ってるらしい。
そんな過去があるから俺たちを歓迎してくれたんだね」

「・・・そ、そうなんですか」


赤くなるランファン。いびつな動きでプディングをすくう。
リンはそれをじっと見つめていた。


「それ食べ終わったら部屋に戻ろうか」

「はい、そうですね、ここももう閉めるみたいですし」

「うん・・・そうだね」


口に運びかけたスプーンをつかまれ、いつに無く真面目に見つめてくるリンにランファンは固まる。


「2人きりだよ、初めてじゃないかな2人きりになるの」

「・・・ですね」

「いいのかい?」

「私はリン様と一緒なら大丈夫です」


リンは困ったように眉根を下げた。


「そっか。でも やばいと思ったら逃げてくれて構わないから」

「な、何があろうとリン様から逃げることはいたしません。
・・・私はリン様を、その、お慕い申し上げておりますから・・・」


赤くなるその様子にリンはふっと笑う。


「ありがとう、俺も好きだよランファン

「私はリン様のものですから」


軽く発せられた言葉に思い切りむせる。


「け、けっこうスゴイこと言うなあ」

「そうですか?幼い頃からずっと私はリン様のものですよ」

「・・・俺が王子だからかな」

「それも無いといえば嘘になりましょう。
しかしリン様が誰より我が身よりも大切です、この気持ちに嘘はありません」


リンはスプーンから手を離し、困ったように頭を掻いた。


「かなわないなあランファンには。 ・・・本当にいいの?俺はけっこう唯我独尊だよ?」

「私も負けてませんから」


2人は顔を見合わせて笑いあった。